コントロール/クローズ
nm6

コントロール、して、クローズ。巻き付いて離れないターバンのような頭痛が周りを跳ねて泳いでトビウオの羽が銀色に輝いて次にくるくると高速で回転してターンテーブルを指先で逆回せば戻るような軽やかな時間に華やかに溶け出していくイメージ、を、目を閉じて目を閉じて。


「寒い季節にさ、中心に持ってくるとあったかいの、これ、なんだかわからないけれど。それをね、すこし危うい日には、表面に持ってくるんだ。そうすると、やさしい。ぼくはほんとうはその、なんていうか、まさにその部分にいるのが、ほんとうのぼく自身のような気がして。その、なんか、研ぎ澄ませたとこ。」




コントロール、して、クローズ。空気が乾いていく音からかすめ取った空耳が届きそうで届かないスピードで反射神経のあたりをつるりと抜ける丸い金属のまわりを艶めかせるグリースが指先に滑れば些細な記憶もすくいとって溶けこんでいくイメージ、を、目を閉じて目を閉じて。


「今日。それは、なんだかこう、手厳しい斜めのほうから左で、次に右から放物線状に反り上がって。突き抜けてくような光は、あれは波なのかな、とにかくゆらゆら揺らして、起こす熱を包みこんじゃってさ。そう、水蒸気がじわじわと。さあ、憎らしくふんわりしているよ、って感じで。」




巻き付いて離れないターバンのような頭痛が空気が乾いていく音からかすめ取った空耳が煩わせるのは気のせいのまやかしだ。指先で逆回せば戻るような軽やかな時間に華やかに溶け出していくイメージを指先に滑れば些細な記憶もすくいとって溶けこんでいくイメージを、ぼくらは季節を変えようと、研ぎ澄ませたところでたくらんでいる。コントロール、して、クローズ。さあ、目を。目を閉じて目を閉じて。


自由詩 コントロール/クローズ Copyright nm6 2004-06-21 01:36:11
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