夜明け時のアルバイト
beebee





壁にもたれながら先輩とふたり
休憩をした。
明け方までの青果市場のアルバイト。
色々な野菜が振り分けられて、
段ボール箱に入れられた。
どんな正月料理になるんだろう?
馴染みのお得意さんは市内の料亭だった。
眠らない街
北陸の金沢は古くからの商業都市で、
小さいながらに夜明けまで営業の店があった。
出来すぎの話だけど、
壁に凭れながら先輩は大きな声で詩吟をする。
田舎が粋な街だった学生時代。
暁の光が倉庫に射して来て、
汚れた壁がもえるようだった。
一日の始まりに終わるアルバイト。
それでも時間は止められなかったのはどうしてだろう?
流れ着いた故郷、でも
どうしても出て行きたい街でもあった冬の思い出。
 


自由詩 夜明け時のアルバイト Copyright beebee 2008-01-08 19:48:51
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
散文詩