ただの女
蒼木りん

見上げたら

雨が

矢のように 刺さるように

降ってきた


嗚呼..


殺して

本当に 

この眼も胸も 射抜いて

たやすく命を投げ出すよ


眼を閉じるよ


もう

眼を開けたくない

胸の痛みに耐えられない


ヒラリ


閃いて一瞬

細い刃が無数に

穢れた私を攻めるけれど


折れていく

嗚呼..何故 

殺さない


天の放ちたる矢じりは

罪を攻める刃ではなく

温かな涙の味がする雨


私は

その雨に ただ

濡れているだけの

濡れていたいだけの

ただの女にしかすぎないのですね





自由詩 ただの女 Copyright 蒼木りん 2004-06-20 21:24:19
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