裏側
本木はじめ

逃れゆくものたちから
遠くはなれ
真夏し続ける真昼
貝殻たちは閉じ続け
空は円環面だけを広げ続け退行の曇天
誰かが呼べば
誰かが応える
のそとがわで
隠れている子を見つけ出せない
鬼ばかり
ふるえている木々を見たひとは隠され
数を数えるひとたちは
残り続ける
平穏な川岸に
流れ着くまでのあいだ
自らを偽り続ける
水の渇きに
応える 六月の空が
したたかに


自由詩 裏側 Copyright 本木はじめ 2004-06-19 14:25:34
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