ROOMER
本木はじめ

たわいもないもしくは深刻な
天使たちの会話を切り裂いて
チャコールティースの王たちが円に酔い痴れる滅びの夏
閉め切られた部屋の中に
続々と集うひとびと
片足の無い者は言葉を投げ続け
真っ白な顔の者に沈黙される
ふたりでひとりの者がひとりでふたりに孤独する天井を見上げつつ
ぶんれつ
乱雑にピアノを奏で続ける帽子の紳士の
首元から蝶ネクタイが羽ばたく中
窓際では暗いひとたちが
低音をむさぼっている
巨大なハリネズミの象の鏡の間から
羊たちが美しく嘔吐する洪水の中
みな一様に溺れている
湾曲した部屋の下腹部で
僕を再び生み出してくれた
君だけがいない


自由詩 ROOMER Copyright 本木はじめ 2004-06-19 13:40:09
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