「試行」
菊尾

指で突いて倒れ始めたドミノに
切って配られるトランプの絵柄
外は薄紫に染め上げられていて
伏せられた今は
カタッ カタッ て
倒れる音だけが聞こえている

忙しいけどそれを理由に忘れはしない
喉につかえた言葉は
そのままだと残ってしまうよ
晒せないから暴かれたい
「寄りかかりたくない。」って
ベランダから外を眺めている

研究室に記録されていた幾つかの方法を
試みてみるからその場でジっとしておくといい
深呼吸で動く上半身とその唇
いつも背後の世界に目を向けている
僕はノートをめくっている


見間違えただけ
どこからでも弾けられる
思い出すのは長縄跳びのあの感じ
巻き戻る見覚えのあった情景のこと
愁い模様の終わりを見たらしい


あやふやにする癖
はぐらかす言い方は
少しずつ言い切る形に
それに気付いた僕は
いつもより笑っている


自由詩 「試行」 Copyright 菊尾 2007-12-27 17:53:39
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