ひとつの手紙
霜天

ゆっくりと朝になっていく一日に
決まったかたちの挨拶を投げ掛けて
次第に集まってくる思考を
開きかけの目で確認する

机の上には
いつからか書きかけの手紙があって
便箋は空を薄くした色
封筒は飾りの無い白
黒い文字が流れて
そのまま

かちこちと時計は鳴り止まない
手紙に添えた気持ちはくすぶって
かちこちと刻まれている
私のどこかが
長針の速さで
今も鳴り止まない

朝が開いて
今日になっていく
集まった思考で置き去りの便箋を眺めて
もう今は意味のない文字の流れを
流してみようか なんて


ひとつの手紙
私から私へ
時計は今もどこかで
ゆっくりと止まりません


自由詩 ひとつの手紙 Copyright 霜天 2004-06-18 18:09:23
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