パンパンに詰まっている
山桃

居座るダニの塊は血の詰まった蝉のぬけがら
工場に響く怒声が間接的に私の脳を焼く
二階の出窓は写真一枚置かれず一人
埃は初雪のように優しく彼らを包む
午過ぎて、出前ラーメンの隠し味わからず
屋上に並べて干しておいた
小さくカットされた絨毯を敷きつめる
いつまでもセピア色のそれを見てふと気付く
東向きの窓にあるクリーミーな赤いブラインドが
この六畳間から夕焼けを奪っているらしい
この絨毯は夕陽に焼けもせず炭になり
朝の光で灰になり飛んでいく気なのだろうか


自由詩 パンパンに詰まっている Copyright 山桃 2007-12-24 04:43:13
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