魔女たち
いねむり猫


魔女たちがめざしているもの

世界を見渡して揺るがない立ち位置
はるかな時間を超えても変わらない 
人の中にうごめく真実を見つめるまなざし

男達が作った社会のルールを
薄い紙のように踏み越える 女達の習わし

自然から奪い 物の中に埋もれる男達
多様性を標榜する 了見の狭い会員制クラブ

決して交わることのない道

魔女たちはそれぞれ たった一人で時間に向かう
月の光を浴びながら 太古から未来に流れる
人の中の 獣の系譜を追う

魔女たちはそれぞれ 自分だけの方法を 
尊大に そのしなやかな体から編み出す
そして
滅びの一つ手前で それぞれに彷徨っている

気ままな魔女たちは 自分の孤独を気にすることもなく
青いガラス瓶の中に 虜にした男達のまなざしを閉じ込めて
忘れてしまう

だから 魔女たちは 己を伝え 伝承することができない
そしてときに 香り高い万能の秘薬を調合できても
それを自分だけのために 孤独な儀式の中で 使い切ってしまう

だから 魔女たちは 
己の中の深紅の獣を 飼い慣らすことに失敗し続けている

それでも魔女の系譜が途切れることはない

光を浴びて輝く水しぶきに笑い転げ 
風にゆれる木の葉を憂い込めて見つめる
幼い魔女の弟子たちは 生まれついてから すでに魔女なのだから


自由詩 魔女たち Copyright いねむり猫 2007-12-23 10:25:06
notebook Home 戻る  過去 未来