いいよ
狩心

いいよ。それ。
ナイフ刺してもいいよ。
だって。確実に死んでるもの。それ。
刺しても、ギャーとか言わずに。ずぶずぶって音だもの。底なし沼だもん。
 いいね。その動き。
 分かって来たね。腰使い。うどんを踏む時の。それ。
 手は。盆踊りだよ? 分かってる?・ うん。それ。
 頭上に掲げた桶の中 湖の辺に 月 受け止めて下さい
あーあ。やってらんないよ。底なし沼だもん。青いブルーのベレー帽。敬礼するもの。皆。喪に服して、敬礼するもの。皆。ガチャガチャの中身。知りたくて。敬礼するもの。真っ二つ。地球を割って。戦争するもの。きっと。どっちが正しいか。決めたいとか言って。戦争するもの。きっと。利益出るもの。とか言って。胃液出し尽くして。底なし沼だもん。

ばっきゃろー 子供が家で待っている
なんて言いながら 土を食う
モグラになりたい 太陽の届かない地底に ドラえもんを 見つけたのだから
帰らない 母国の土に 子供が眠っていても 起こさない
すぅすぅと 可愛い吐息で眠っているから
そっとしておいて あげよう   ね

上陸は一人でするもの
きっとずっと そばかすだらけで きっと
月のクレーターに
お祈りできるもの

さらば地球 さらば大地
わたしは甘え過ぎた
現実に 卵の黄身を落として 笑ってた
白身はその時も
増殖してたんだ

抱っこして欲しい
夫婦みたいに
守り合って 傷付けたかった
卵の殻が 割れるまで
気軽に買い物 するんじゃなかった
殻は いつも影の中に そっと 沸騰している
買うことも 代えることもできない
真空のオグマ
目から斜めに 傷跡を残して
カミナリの如く?

いつも 誰それって 知らん振り
知らない単語だって 辞書引かない 体たらく

戦争の意味も知らない onステージ…

           歌い切った後
           真っ白い老人になる

カミナリの如く? そう。カミナリの如く。対角線上に。上から下へ。真っ逆様に。フライパンが割れる。日常が割れる。それを料理する。床に穴が開く。そこにお湯を入れて。お風呂に入る。土の匂いを嗅ぎながら。体を洗う。汗を流す。蒸す。心の奥に。中華まんを作る。中身の具は。唾液の合唱。中身の具は。コウモリの湿地帯。中身の具は。鋭い爪と。鋭い刃。ネイルアートみたいに。装着する。鼻から大地へ。口から空へ。目から海へ。耳から地獄へ。髪の毛は。はらはらと異次元を回って。七色に輝く。それらすべて。熱せられた。フライパンの上での出来事。

気にする必要はない。
いいよ。それ。
だって。確実に死んでるいるもの。
賞味期限が切れても。生きているもの。商品は。戦争じゃないから。生きているもの。ぼく。戦争の中で生まれた。商品だから。戦争は。商品なんだよ。歴史の渦に。バーコードに通されて。商品は。戦争じゃないから。ぼくたちは。生きているもの。バーコードの渦の中に。歴史の片隅と。ど真ん中に。体を半分ずつに割って。捧げているもの。それ。
夫婦みたいに
守り合って 傷付けたかった

開かれた窓辺には 水星 金星 地球 火星 木星 土星と 規則正しく並んで
それぞれの姿を 捕食していく
回転はせず お互いの距離をばりばりと消費しながら 近付いていく
空間が マイナスになるまで それ。を目指している

六つの惑星 六つの大陸が 一つになった時
卵の殻は割れる
大きな太陽に向かって 唾液が 怪奇日食していく
 その後。太陽はなくなる。六つの惑星もなくなる。ただ。両手で。
 頭上に掲げた桶の中。湖の辺に。月だけが輝く。
 水面を揺らして。小舟の上に眠る子供に。
 そっと息をかけて。
 朝ですよと。
 起こす。
 子供は死んでいる。
 起きない。
 脳髄から神経細胞に。
 サイレンが鳴らない。
 そこから幽体離脱した
 卵の
 白身が
 顔を持たないまま 伸びるように膜を張る アメーバ
 細胞分裂を起こし 雲の上から もしくは 太陽の届かない地底から
 ドラえもんの人形を持った 時計仕掛けのモグラが出てきて その子供
 落下傘部隊のように
 植物の胞子のように
 小さな爆弾を抱えて
 誰もいなくなった世界に 降り注ぐ
 降り注ぐ

 だからおやすみベイビィ
 母国の土に





自由詩 いいよ Copyright 狩心 2007-12-23 02:02:05
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