いぬけ
佐々木妖精


ああはは
かわらが
さらさら
はたはた
なかまは
はかばだ
まがらば
やかたは
らあらあ
わら

飴と続けるのを怒られたので

            う
木々のそれを音も立てずこう
しみじみと租借して音を砕く
茶褐色の地域で起きたのです
苦き記録はある冬の日の凍結
日へ翻し口に出してはならぬ
蜜柑の耳を見つけ許しを乞ふ
八重歯を重ね言葉を塞ぎ噛む
リードはこわばるリズミカル

あ行はあしか発音を許されな_
かったので歯並びの駄目な子
だったのだろうと思_うます



私はあなたを知ってます
あなたが残した足跡1つ
                        え
聞き取れぬ頭でほろほろ歩きコツリ何かあるよと呟く杖
急に現れた裸の足跡は中央にくっきりとたった1つだけ
地中からきた足踏みか空中からの着地かも分かんなくて
知る事も追う事も出来ないそれは雪原をかき黒々と寄せ
秘められた静寂しじまの美が皮膚を通してなだれ込み前頭野へ
満ち満ちた心が激しく圧迫され扇動しグラスが渇くため
人間?ならばその人が身に纏うのは恐らく一対の眩きはね
理由なき心の闇を探られストーカーと叫ばれるのを恐れ

あなたは私を見つけてくれたのですか私を知ってますか
私はあなたを知って
_ます

立ち尽くす岐路
                お
幾何学模様の降雪が
ひっきりなしに舞う中
浮かぶのは決まって
まだ見ぬあの人の顔

凛とした足跡を
あらゆる角度から眺め
態度を決めかねながら
降り積もる雪に
埋もれるのを防ごうと
覆いかぶさり
一つきりの証を守っても

ひりひりとした冷気が
夜の訪れを告げ
風が吹雪を運び
二本の白髪を隠す
ここ
なのかな
死に場所は
ここ?

ちくちくと騒ぎ始めた
どうせと結局のマフラーを
黙るようきつくしめ
足跡の方向を確かめ直し
ピンと風を受け
掲げられては
刻まれゆく帆

白く滑らかに染まった雪原の中で
自分だけが汚物であるような鬱屈は
錨となって歩幅を狭め
踏みしめた鳴き声の響くこの地は
新雪の仮宿
もう埋まってしまっただろうか
たった一つの場所

闇を照らす雪は
影に触れながら
徐々に消え去り
影がそれを飲み込み膨張する
「振り返ったら食われるぞ」
風が伝える唯一の
受け取れる音

にべもなく欠けた月が
また満ちるのを小刻みに眺め
満ちることなく雲で覆われ
粉雪が睫毛の上へ落ち
体温と交わり
滑り落ちる
濁りなきパウダースノー

騒々しく喚く雲から
青白く光る腕が何本も伸び
その嫉妬は雪原へ突き刺さり
肥大した影が身を乗り出し
焼け付く矢じりを受け止める
「もうすぐだよ」
全身にかみなりを受け
間近に迫ったその声は
父さんのもので
ここはかつて
父も通った場所であると知り
ふと

脈略もなく嗚咽が漏れ
身体中に傷を負った父を肩に抱き
雲を縫うように差す滲んだ日の中で
佇む女性と出会う
岐路の終点
あけぼの

きみは
そのむき出しの足は
紛れもなくあの人で
あなたでしたか
探しました
母さん
私は母さんの初めての子ですよ






_外
自由 詩
この自由は詩によって縛られ
詩のルールを感覚的にしか把握できず
恐る恐る書き続ける中
どの瞬間どんな判決を下されるのか

ラグビーボールでサッカーをしているかもしれず
とか
イエローカードもらいまして
上ので2枚目ってことで退場です




(ほつれた口を溶接し
余白に顔を埋める)




個性は目の前のルールに適応した結果でしかない
こせ

でしかな



書くことで捨て去った可能性を超え
余白に屈することや
振り返って悔いることもないよう
知りたい
ルールを 制限を 制約を

ここにある言葉には
代わりなんか
ない

そう言い切れる日まで


自由詩 いぬけ Copyright 佐々木妖精 2007-12-21 07:59:13
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