哂うしろはた
エチカ

にゅうすぺぃぱーとかいうものには
お皿に盛った、たくさんの不幸せが
食べ散らかされているようです

幸福とかいうやつが
いつも私の目標ですが
そいつはいつも笑いません

今日も電車に乗りました
満員電車でわたくしは、
うなだれかかった人々の
あらゆる叙情に泣きました

道行く人に手を差し伸べて
孤独を共有しようとしながらもわたくしは、
その孤独を嘲笑しているのです

大人になると社会の真ん中で
あい だなんて叫べません
大人になると
じゆう だなんていえません
らぶあんどぴーすなんてことばに、
わたくし騙されたくありません

そんなものでわたくしを、
ごまかしたくありません

四角い箱の中で男がひとり
きょうのできごとを話しています
わたくしはその話に丁寧に耳を傾けながら
つくりおきの真っ赤なすうぷをすすりました

すぷん を握っていると
はた はた
と音が聞こえました
ひら ひら
とも聞こえます



ふと、顔を上げると窓越しに
風にたなびくシーツが一枚
こちらを見て嘆いています
箱の中のおとこはいいます
今日は一日大変厳しい寒さが関東地方を襲いました
この寒さは明日も続くでしょう


ああざんねんだ
ああざんねんだね

明日こそは、と思っていたのに
明日のにゅうすぺぃぱーも
きっとまた食べ散らかした
食卓のような顔でわたくしをみるのでしょうね


ああいやだ

もうたくさんだといいながら



しろいシーツはいつまでも
はた  はた  と、ベランダで
座ってわたくしをほくそえんでおりました




自由詩 哂うしろはた Copyright エチカ 2007-12-17 23:29:35
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