街から生まれる
いねむり猫

夜の街を流れる 灯りたちのダンス
私達の体に流れているもの

街に流れているのは 星占いによって定められた
軽い運命たちのパレード

しかし その表面のさざめきの奥には
人の形など認めない 無慈悲な生き物の営みがある

大きな流れが私達の体を一瞬通って
また元の流れに戻っていく

私達は 一瞬の分岐
あるいは そのとき私達は 街になる

街は 光輝く無数の灯りの鱗をまとった巨大な生き物で
大きく蛇行しながら 私達を飲み込んでは
また孤独の中へ吐き出す

その意図は 底知れない 太古からの意思

だから 私達は街に飲み込まれたときでも
逆らうこともなく 友達との話しを続けている

ただ、街に飲み込まれた時
私は体が軽くなる 
世界の中心であった私が軽くなって、
世界の中心などないことがわかって
街の無数の明かりの一つにすぎないことがわかって
安堵のため息をつく

そして、街から吐き出されて、一人になった時
私は 自分が生まれたばかりであることに気付く




自由詩 街から生まれる Copyright いねむり猫 2007-12-16 10:59:54
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