凍りついた瞳
涙(ルイ)

あなたの眼を見ていると
あたし 何にも云えなくなるよ
もうこれ以上 何も壊したくないから
大切にしたいもの 何もかも
壊してしまいたくないから

あたし ずっと怖かったんだ
いつかあなたが遠くへ行ってしまうような気がして
あたしを置去りにして
どこかへ行ってしまうような気がして

あなたはいつもあたしに
一体誰の味方なのって聞いたけど
何もわかってないって云ったけど
あたし 最初っからわかってたよ
あなたの悲しみくらい
痛いほどわかってた

あなたが夜中に
聞こえぬように声を殺して
ひっそりひっそり泣いていたのを
小さいあたしを抱えて
誰にも助けを求められずに
途方にくれていたあなたを
何度も見てきたんだもの
ずっとずっと 感じてきたんだもの

だけど あたしには何もできなくて
ただもう怖くて怖くて
あなたの手をぎゅっと握っているよりほかに
どうすることもできなかった

ごめんね ごめんなさい
あたしがいなかったら
あたしさえいなかったら
きっともっとずっとはやく
みんな 自由になれたのにね
もっと違う生き方 見つけられたのにね
ごめんなさい
生まれてしまって 本当にごめんなさい


あなたの悲しみは あたしの悲しみ
あなたの孤独は あたしの孤独
だけど あなたの生き方まであたしの生き方にはできないの
もうそろそろ 楽にしてあげようよ
あたしたち 十分苦しんできたじゃない
十分泣いてきたじゃない
誰も責めたりなんかしないよ
誰も罰なんかあてたりしないよ

だからどうかお願いです
もうそんな眼であたしを見ないでください
あたしを空かさないでください
ここにいるあたしを あなた自身を
ちゃんと見てください



自由詩 凍りついた瞳 Copyright 涙(ルイ) 2007-12-15 11:20:22
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