機関車とくじら
小川 葉
機関車が吐いた雲が
今日はめずらしく
空になっている
そのはるか上層部で
空はやわらかく
諧調をなして
やがて海が広がっている
海は黙ったまま
何も言わずに
ただ海であろうとする
くじらの背中が潮を噴いた
その霧状の水しぶきの
はるか上層部でも
同様の現象が確認された
そして
私の心の中の、はるか
遠い世界の向こう側でも
それと等しい質量の何かが
何かであろうとしている
真っ最中だった
自由詩
機関車とくじら
Copyright
小川 葉
2007-12-14 23:28:22