優しき人
三奈

(私の身体にある悪をすべて打ち消して)

(痛いくらいの優しさで満たした)

(そんな人間になりたいと願ってた、ずっと。)



私と彼女は正反対



感情のままに怒鳴る彼女
本音を出さない私


相手の事を思って怒鳴る彼女
ただ、慰めるだけの私


何人もの人が怯えた目で彼女を見てた。
鋭いから、気づいていたでしょうに。


人の評価など気にしない彼女
評価ばかり気にする私


人の為に怒れるのは
彼女が誰よりも優しいからだと気づいたのは
出会ってから何ヶ月も先の話


ただ、笑って、本音を出さない私を
彼女は心底嫌っていたようだけど


それでも彼女を嫌いだと思った事がないのは
彼女の中の優しさが好きだったから




(私の身体にある悪をすべて打ち消して)

(痛いくらいの優しさで満たした)

(そんな人間になりたいと願ってた、ずっと。)



人間では、成し遂げられない理想を掲げていた私
人間らしい優しさを持っていた彼女





私は素直じゃないから
こんな事口がさけてもいえなかったけど

優しさに憧れていたのは事実





また、桜が咲いて春が来て

もし、思い出話のついでにこの思いを打ち明けたら





どんな表情をして聞いてくれる?





どうか、逸らさないで、
ちっぽけな事実を受けいれて





照れたように笑ってほしい









最初の頃のように


自由詩 優しき人 Copyright 三奈 2007-12-13 17:08:54
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