非常口
A道化




夜で潤んだ廊下のタイルに
こぼれていた非常口の灯りは



それなのに
何からも 何処からも
匂いの消えた夜だった


緑色に 浸りたい
そんな気がしていたのは
わたしだった 筈だ


だからその夜に足音がしたとしたら
それは
わたしの足音だ


緑色に 浸りたい それなのに
今も片足さえ辿り着かないのは
私である 筈だ


だからあの夜から足音がしなかったとしても
それが
わたしの足音だ



2004.6.16.


自由詩 非常口 Copyright A道化 2004-06-16 06:19:11
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