水色
大覚アキラ
おれはきっと
あんたが死んでも
泣いたりなんかしないし
この先二度と
あんたに会えないとしても
たぶん平気だ
*
たぶん ね
*
実際のところ
ほとんどの関係性は
その程度の濃度でしかないと
誰もが薄々は
気づいているのかもしれない
*
さびしいな
素晴らしくさびしいよ
この澄み切った世界
*
死ぬのが怖いんじゃないの
わたしが死んだあとに
みんながわたしのことを
忘れてしまうのが怖いの
*
と
彼女は言った
*
なにもかも置き去りにして
痛いほどの速さで
引きちぎるようにして
ここから飛び立って行きたい
*
怖くなんかない
どうせ
なにひとつ
最初から繋がってなど
いないのだから
*
こんなにも
澄み切った世界に
涙など不純物でしかない
*
この世界が
果てしなく
水色になればいい
*
澄み切った
うつくしい水色に
*
祈りは必要ない