心の部屋
よしおかさくら

うすみずいろの空気のなかに
波のように広がる まろやかな階段
動きを止めた時計の針
薄い氷の窓
やがて
透明な光が窓から差し込んで
いつかのざわめきが聞こえてくる
青白く輝き出す壁の陰では
懐かしい気配がノックを躊躇っている
構わないのに
戸を開け放したって構わないのに
私が部屋の隅に蹲っているのを
感じ取ってノックさえできないあなたが嫌い

「入らないで! ……この部屋には」
言ってしまうつもりで口を開きかけると
ざわめきは一瞬にして掻き消えて
私の夢は終わる


自由詩 心の部屋 Copyright よしおかさくら 2007-12-06 00:41:54
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