熟れる頃 きみが泣く
アオゾラ誤爆

橙のかげ
古い写真みたいにかすむ

あの煙突からたちのぼる
霧のような灰が眩しい
太陽はしずみかけで
手のひらの大きさの池に浮かんでいる

死んでみたいとくちにした
動脈血のながれるくちびる
冬の空気にさらされて
あかい
赤くてあかくて落ちてしまいそうに
熟れている

あわく黄みがかる遠くの雲が
工場の屋根に隠れた
雪がふるかもしれないと思った

いつもよりおおきな声で
囁いてみるように
爆弾に触るように
とりはだが立つのを待たない

だってほら掴んでしまえるよ
時間なんて気にしてないで
きせつにならどうせ追いつけない
冷たい羽根ならぼくらには生えない

触れ合ったその場所から
腐っていくから気をつけろよ



自由詩 熟れる頃 きみが泣く Copyright アオゾラ誤爆 2007-12-05 20:15:06
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