水色のそら
千波 一也
水色のそらを眺めていると
水ではないのに水であるような
或いは逆でも済むような
忘れものの気楽さを
ひとつふたつと
思い出す
降るものは
雨なのだろうか
不思議そのものが
降っているようにも見える
わたしはときどき
思うがままに泳いだあとは
風をもとめるわたしであるから
引き潮ばかりを語ってしまう
満たすことばに
満たされもせず
ふりをしてしまう
わたし、違うのに
漂うもののあれこれは
すくわれることを
待つのだろうね
とかく気高い
魚
(
うお
)
ならば
上手な距離をのぞむのだろうね
ほほえむことを
天国と呼ぶために
それが壊れてしまわぬように
たとえばまことの綺麗な器は
つくりて
冥利
(
みょうり
)
に尽きるもの
残念なことは
せめられ上手に落ち着いたこと
教わり過ぎた子孫のわたし
しあわせというものを
よく知らない、ほんとうは
敢
(
あ
)
えて恥じらうこともなく
水色のそらを眺めている
溶けてゆくように
わたしは
眺めている
自由詩
水色のそら
Copyright
千波 一也
2007-12-02 17:45:40
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