はるのくるふゆ
チアーヌ

ベッドの中にビバークする
寒さに震え縮こまりながら
一点だけを見つめ泣く

寒いと
痛いんだね

どれだけ泣いても枯れない涙
いったん収まりはするものの
すぐにあふれてくる
泣きすぎて
頭はぼんやりと霞み
ひとつのこと以外は
何も考えられやしない

あなたのこと
あなたのこと

何度も何度も
足元の氷が砕け
暗く冷たい水の中
落ちて行く
     
わかってたのに
わかってた
のに
どうしてこんなに
苦しいのだろう

でもほんとうは
信じたくなかったの
あなたに
アイスピックで
背中から
突き通される
までは

まだ刺さったまま

時間の感覚は無く
朝から泣いたり泣きやんだり
していると
夕方になる
そして
電気もつけないまま
夜になる

寒い
寒い

もう二度と
この手に触れることのできない
あなたの
からだ
まだ感触が
残っている
     
こんなに悲しい
こんなに悲しいのに

いつか溶けて
しまうというの?

またはるがくると
いうの?

それがむしろ
悲しい

はるのくる
ふゆ


自由詩 はるのくるふゆ Copyright チアーヌ 2004-06-13 15:25:44
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