マフラーイズム
砂木

雪が降ってきたので
冬の靴や手袋を用意する
マフラーもと思い
若い頃に編んだものをだす
新婚の頃
夫の帰りを待ちつつ
夜に編んでいた古いものだ

クリスマスのプレゼントに
チョコレートと一緒にあげたのだったか
バレンタインだったのか
実はもう 覚えていない

それなりにお礼は言われたと思うが
一度も身につけてくれないので
つけてよというと
嫌だと言われた気がする
趣味じゃなかったのだ

せっかくかわいこぶったのが踏みにじられた気分で
しかし 着るものの趣味と言われると
しょうがないのかと学習して
数年 タンスにしまっておいたのだけど
もったいないなと ふうっとどうでもよくなり
自分の首にまきつけて暖めている

あれっ 手作りなのなどときかれようものなら
うん 若い頃ちょっとなどと嬉し気に応えて
旦那にふられたマフラーだなどという感傷は
後ろに蹴飛ばしている

どこか かばってもらいたいヒロイズムが
少し悔しそうに私を睨みつけるけれど

好きな格好をしていいという事のほうが
暖かいのかもしれないと
ダンディに変わりたい







自由詩 マフラーイズム Copyright 砂木 2007-11-20 00:04:24
notebook Home 戻る  過去 未来