SILVER CAT
木屋 亞万

シルバーキャットは元気が無い
どうしたどうした虚ろな目をして
どこか遠くを見ているところか
何か飲む物でも欲しいのか

生きてる風に見えなくて
池に沈めて斜め切り
水が揚がれば元気も出るか
君はシルバーキャットだから
水面を切って石のように
バキャバキャと跳ねている

柔軟そうな尻尾が
妖艶に揺れて見えるのは
深く潜っているからだろう
白い尾が白眉を思わせて
君はもうただの獣ではない

底から掬い上げるのは
ハサミを持たぬ方の手で
水の雫が光る楕円は
全て手で毟り取る
爪はもう必要ないだろう

先祖はアフリカにいて
太陽に押しつぶされた
大地の名残を感じさせる
逆さに吊るした白に
乾いた目ではなしかける

ずっと一緒だ
僕のシルバーキャット


自由詩 SILVER CAT Copyright 木屋 亞万 2007-11-13 00:02:11
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