ゼロの星
砂木

書いておかないといけないのかな
十一月の林檎もぎをする足元に咲く
たんぽぽと

実った林檎をもぎ取る同じ時期に
今年は 林檎の花が咲いている
全部ではないけれど 全部だったら破滅だけど
狂い咲き 木が季節の狂いに同調している

書いておかないといけないのかな
松食い虫に滅ぼされている松の木のように
今 枯れはじめている ブナの木やナラの木の事

ブナやナラは 山で水を保っているらしい
山から ブナやナラが消えたら
山の水がなくなって

田んぼや畑に水が こなくなって
真水が消えたら 飲み水も消えるんだ

たんぽぽ 可憐な黄色
でも狂い咲きした木の命は 保てない
朽ちるまま で とべない

木の種族は倒れるまで命を守るのだけれど
私は書いておかないといけないのかなという
気にさせられる

水が消えたら 誰も火は消せない
どこかの星のように
土の塊だけになるのかな


自由詩 ゼロの星 Copyright 砂木 2007-11-10 21:07:31
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