寝台列車のうた
ふたば






お魚畑を横切って
青い列車が突っ走る
火花がカーブで散るたびに
魚が闇夜に飛ばされる

枕木たちの音階を
青い列車が突っ走る
エレクトリックギターの弦の
レールが唸りをあげていく

乗客たちが眠りにつく
ベッドが軋み狂っていても
それが彼らの言葉だという
彼らはそれを静寂と呼ぶ

厚い静寂のカーテンが
窓のない壁を埋めている
天井が星空に見えたなら
外側からだけ照らされる窓

車掌がガラス棒みたいな
煙草の先に火をつけて
僕もようやく眠れるよ
胸の切符も冷ましておこう

誰でも列車に乗り込んで
ただ一言を伝えに行く
隣の国からやって来た
カモメみたいな顔をして

お魚畑を横切って
青い列車が突っ走る
火花がカーブで散るたびに
車体が闇夜に透き通る







自由詩 寝台列車のうた Copyright ふたば 2007-11-10 20:15:17
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