ミッシェルのチンピラ
A-29
ビートルズ愛好者として生き続けて早や三十有余年。ビートルズのギター完コピは難しい。ミッシェルのアコギもそのひとつ。こんどこそ完全に解明してやろうと試みては果たせず、年ばかり無駄に重ねる人生でありました。
コード進行は大きく間違えずに捉えきれているはず。だが、何かが違っている。そんなもどかしさがいつになっても払拭されなかった。ラブバラードなのに何処か虚無的。で、おまけに何処となくチンピラ。このチンピラ感がどうしても再現できない。なにが違うんだろう…。ずっと思い悩んでいたのです。
ところが! 偶然たどり着いた2ちゃんねるのあるスレにその答えが投稿してあったのだぁ! 歌い出しのFの次のコード! B♭mなんかじゃな〜い! B♭7+9だったのかーーーっ! まいった! まいった! もー。ほんとーーーーにまいった!
はじめ、投稿者の方の「Michelleのコードも変わってるよね。(中略) FからB♭7+9って行って(云々)。」というコメントを読んだぼくは、「B♭7+9? まさか。いくらなんでもそれはありえないよ。そこまでひねくれてはいないでしょ。」と、とりあいませんでした。でもギターがすぐそばにあったので「ふーん。どれどれ。」と弾いてみました。
アギャーーーーッ!!! これだぁぁぁぁぁぁ。はあぁぁぁぁぁ。ポール・マッカートニー。なんて野郎だ。
実際、曲中ではこのコードフォームでのギター音の鳴りはほとんど目立たず、なかなか気付きにくい。しかし、たしかに6フレットでこのコードを押さえている。このチラッと聴こえてくるアホなテンションノート。これこそミッシェルのチンピラの正体に違いない!
「メロがそうだからそうしとけ。笑えるし。」
たぶん冗談半分でそうしたんだろう。が、こうしたアホなアプローチによってミッシェルはただの甘ったるいラブソングでは終わらない何ともいいようのない音的快感を提供しつづける楽曲になったのだと思うわけです。おそろしやビートルズ。おそろしやポール・マッカートニー。
ケイオス・アンド・クリエイション・イン・ザ・バックヤードのジャケットには弟のマイケルさんが撮ったお兄ちゃんの写真があしらってある。ビートルズのひとりになる前のお兄ちゃんの写真だが、たぶん弟は家の中から窓越しに見えた思案げな面持ちで庭に出した椅子に座ってギターを弾いている兄の姿に何か普通ではないものを感じ、思わずシャッターを押したに違いない。
「あれ。うちのお兄ちゃん。なんかヘン…。」
そうです。お友達のジョンさんもヘンだったけど、あーたの兄上もそーとーヘンです。
※マイスペースのブログに投稿したものをこちらにも投稿しました。マズイかな?