a dog
三奈

運命は、残酷

尻尾を振って
愛想よく

できるだけ
愛想よく

しとしと、しとしと
降る雨は、降り止むことを知らなくて

小さな体は冷たくなった
故郷なんて、もう忘れた

運命は、残酷

人々は薄汚れた体を見ては
「汚い」と嫌がった

僕をこんなにしたのは
君たちの仲間なんだよ、と

吠えて吠えて
伝えようとしたら

「凶暴ね」と
顔をしかめた

差しのべてくれる手なんてなかったよ
だから、ダンボールを飛び出した

たくさんの足に
踏み潰されそうになりながら

生きていく為
旅にでた

尻尾を振って
愛想よく

なんて、疲れたよ


しばらくは一匹狼で
生きていくしかなさそうだ


罪もないのに、捨てられた


理不尽なことばかりの
この世界






あぁ、とりあえず

今日のご飯はどうしようか?



自由詩 a dog Copyright 三奈 2007-11-04 19:52:57
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