彼女は数学者志望。
哀詩

 

(きみはそれを何て呼ぼう)

電球のなかの世界は
きっと簡単で、それだけね。
(銀の糸がきれるまでひかりつづける)
そこには しあわせ とか かなしみ とか あるのかしら。
(ないと知っていて たずねるあたしは乙女志望?)


れんあいが二文字なのはそこに相違があるからかしら
あい を全世界にふりあてて、
こい は個人的な、ひとりに相当するものとしたら
(あたしの れんあい をうける人物はこの世でひとりよね。)
それはとても簡単に聞こえるのだけれど


でもとりあえず目の前の景色が 0 か 1 で構成されているとして
あたしが(未来の)あなたをあいすことに意味があるといえるかしら。
だれもね、だれもね、 何も証明なんてできないのです。
(ならば人類が 証明 という いかにもいかがわしい言葉を残した理由を述べよ。)
「あいしているよ。」 だなんて 白々しいわ、
あたしを見てそんな言葉を吐かないで、(儚いじゃない)
あなたはあたしが求めるものを見ることすらできていないのに


原点に戻って、あたしに何が証明できるかといえばそれは
あたしが目の前のことを証明できないことだとか
あたしがあたしを取り巻く 空気とかいうものを 
どうやら無意識に吸ったり吐いたりしているだとか
あたしには証明できないものがありふれていることで
それはつまり
どうやらあたしは生きていて、あなたに すき だとかいう感情を抱いている
そうなるらしい。
誰が決めたのかしらないけど れんあい をつくったのはそうね、
すき だとか あいしてる だとかね 語彙が少ない馬鹿ヤローだわ。

Q.E.Dが決まらないわ
法則がみえなくって

ただこの胸がどうやら あなた を思うと
少しきゅんと閉まって、ばくばく と波打ち
夜はそれだけで乗り越えられるということ。

そうね、そう感じ始めたころから
世界は しあわせ に溢れている気がしてならないけど


少し不愉快なことも増えたかしら。
 


未詩・独白 彼女は数学者志望。 Copyright 哀詩 2007-10-29 07:37:40
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