西の空
湾鶴



ざ・・・ざ―――ざ・ざ・ざ――
雲っています。どんてんです。
いちごが売り切れています。
横断歩道に吸い込まれそうです。
いつものように歩くと
危うく、車に引かれたであろう雀を
踏みそうになりました。
見てしまいました。
成仏してください。成仏してください。成仏してください。
成仏してください。成仏してください。成仏してください。
成仏してください。成仏してください。成仏してください。
かわいそうとオモッテハイケマセン・・・ひたすら、
成仏してください。成仏してください。成仏してください。
成仏してください。成仏してください。成仏してください。
成仏してください。成仏してください。成仏してください。
今日は金星が太陽へ参拝にいきます。
きみもつれていってもらいなさい。ほら、今だよ。
成仏してください。成仏してください。成仏してください。
成仏してください。成仏してください。成仏してください。
成仏してください。成仏してください。成仏してください・・・・
なきがらをそのままにしてしまった、
アスファルトの続く中心で、しゃべるも手袋もないことを言い訳に。
わたしのための念仏はいらない。
ひたすら潰れた雀に念仏を。
宗派はもっていなくとも。
金星に乗れますように。乗れますように。乗れますように・・・
そういいながらも、無残な姿を思い出し、膝がゆるむ。
足をきれいにしたい。スケートリンクのような床を踏みたい。
きもちわるい。もうしわけない。
もうしわけないとオモッテハイケナイ。雀が成仏デキマセン。
金星は軽やかに雀を持つと、
西の空で待っている輝きへともどり、雲のきれまをくださいました。


自由詩 西の空 Copyright 湾鶴 2004-06-08 22:11:16
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