メランコリー・ハニー。
菊池ナントカ


このままどっか持ってかれそう。
地下鉄の音はお喋りには向かないわね。

真実なんて知りたくなかった。
大体の見当だなんてついてたんだ。
このまま幽霊になりたい。
生きるって、そもそもどういう感じだったっけ。

家の冷蔵庫にあるトマトを全部握り潰した。
害虫は私ただ一人。
トマトは青臭い匂いを撒き散らし種を見せ付けていた。
「まったく困るんだよなぁ、誰が後片付けすると思ってんだよ。」
生涯かけて二度とココアを飲まない。
蒲田を歩かない。
私の子宮の後片付けもアンタがしてよ。

アパート隣室からアバズレ好みの音楽が鳴り止まない。
鳴り止まない。

薬の量だけ異様に増えてゆきますが先生、コレで私は本当に治るんですか?

薬を含むと涙が出ていく。
メランコリー・ハニー。


チョコレートをヒトカケラ口に入れようとして止めた。

人間は人間でしょう。
それ以下でもそれ以上でも無いくせに。
品川駅乗り換え口で永遠に待ってろ。

全ての図書館が放火されますように。
パソコンとプリンターを所持している人間が皆呪われますように。
半分本気で半分冗談で夢うつつ考えた。
世界がハローワークで一杯になりますように。

メランコリー・ハニー。

私の子宮の後片付けもアンタがしてよ。
夢幻の夢を見せて殺してやるわ。



自由詩 メランコリー・ハニー。 Copyright 菊池ナントカ 2007-10-24 19:30:42
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