夏に見立てたいつかの終わり
水町綜助

埃がとれない
枠組の窓は青色のオレンジ
壁紙を伝って
薄目をあけてなぞると
手のひらに体温が付着した
温度何℃?
八月の休暇の名残
この部屋の床が風鳴りをたてながら沈めていく時
午後四時に
ありもしない風景の中で
見当違いをしたまま空を見上げる
木造の図書館
中庭の銀杏の葉が舞い上がる
白い空が白いんだ
と、見たままを繰り返して
千切れ飛んだ紙切れのような気持ちで見上げる
鼻が冷たくなって

教会っていうところに
行ったことがないな
遠くから十字架を見るばかりだ
ハレーションの中で
刻印のような十字だった
行ってみたいけれど
果たして、何をしに

夕方に
金魚がすべて死んでしまった後の
水槽のような部屋で
この空気のように
静止した水の中で
体温だけが高くなっていく
僕らのどうしようもないそれだけが
そろそろ緑色になるよ
夏の気温だから
ようするに
公園の池だ

どこかへ
行く

なにか
飲む

なにか
話す

小さく
すべてにかぶりが振られ、
お腹だけが
空いていた



自由詩 夏に見立てたいつかの終わり Copyright 水町綜助 2007-10-20 17:11:40
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