月は花の海を漕ぎながら
石瀬琳々

桔梗の匂いです
ほんのりぼかした地平線は
花のうねりが続いています
その上をすべる
乳白色 あおい月
輪郭はまだうすい


   夜はさらさら
   風はさやさや


月は花の海を漕ぎながら
ウィララ ウィラ 歌います
櫂をもって 花をゆらし
ゆるやかに彼方をゆく


月は花の海を漕ぎながら
あおい花を咲かせます
花はさらら 広がります
櫂をもって 光を散らし
くちづけをまき散らし


月は花の海を漕ぎながら
ウィララ ウィラ 歌います
やさしい歌を歌います
恋びとのもとへと行くのです




自由詩 月は花の海を漕ぎながら Copyright 石瀬琳々 2007-10-16 13:57:27
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