ドーナツの星
はな 



金色が ふる

まちがすこしずつ
つめたいもようをかさねた ゆうがたのこと



きみが
道路の真ん中で
おおきく手をふっている
さけぶ声はきこえなくて
きらきらと ざつ音ばかり ひかる
冬なのに
汗かいてる
 

泪でくもる きらきらとゆれ
歩道橋が
そっと宙に浮かんだ




「もういいかげんにして 
おふろからでたら?」
とびらのむこうをふさぐあなた
ながくながく
たちのぼってゆく湯気のなかで
ただ
どこかの
ちいさな声を ききたかった


つまらないことで
さみしくなる
きみからの電話のさいごが きゃっちほんだ とか
前はもっと
かなしいことがあった気がする
惰性かも
しれないけれど


よる
だれもいなくなった、地球で
ながれていた星
あれは今も
とおい
気の遠くなる場所を
めざしているのかもしれない
冬の朝を 何度もおもいだす、みみなり



あれはドーナツの星
きみが
昨日の電話の最後に てきとうに名づけて
だから おちないんだよ
と、言った


青い網のすきまから
ときおり まぶしく
小さな声がふってくる




未詩・独白 ドーナツの星 Copyright はな  2007-10-14 23:52:34
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