ただ抱かれて眠りたい
松本 卓也

詩を詠おうと鏡の前に立ち
増えた白髪の数を数えた

擦り抜けた散り散りの感傷が
部屋の片隅で溜息を零し
歯に噛んだ笑顔を向けてる

捧げたい言葉があるんだけど
きっと哂い無しでは生まれない

無意識に人生の残りを数え
何度呟いたか忘れた言葉を
針葉樹の葉に書き加える

終わっているように思いつつ
始まった気さえしていない
かの人が描く自画像は
何処までも似ていないのに
まるで全てが僕であるかのよう

絵の具の先から搾り出す
白と黒で彩られる日々
忘れていたいはずなのに
何度でも夢に見てしまう

今僕の語る人間賛歌を
君の声で聞かせてくれないか

ただ静かに眠りたい
いつまでも夢を見ていたい
夜が終わるまでの隙間
安らぎを思い出せるまで


自由詩 ただ抱かれて眠りたい Copyright 松本 卓也 2007-10-11 01:25:31
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