死鳥
木屋 亞万


地面を速く走れる鳥は飛べないものだ
海深く潜れる鳥も飛べないものだ
蒸し暑い地べたにへばり付き走り回る
身を切る寒さの水中を泳ぎまわる


空を飛ぶことは辛いものだ
毎日がボクサーの減量生活で
突風にも凪にも対応せねばならぬ
空は凍えるほど寒く乾ききっている


眼は辛苦を経て深紅に染まり
羽根は太陽に近づいたが故に
黒く芯まで焦げてしまう
足は短く鋭くなっていく


フラミンゴは細く長い足で立ち
雀は小さな体の小さな嘴で鳴く
鳩は公園で平和に酔いしれて
ペンギンは股間に子を隠す


みな生きるために必死で
いつかは必ず死んでしまう
どうせなら高いたかい空の上
二度と落ちてこないくらい飛び上がって


自由詩 死鳥 Copyright 木屋 亞万 2007-10-10 00:32:15
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