雨つづり
フクロネヅミ

つらつらつらと
したためるように降りますので
真夜中、
ふとんの中より失礼して、私は両の耳で静かに拝見いたしました

お手紙は
窓や庭の木木いっぱいに長々と書かれてありますようで
これは
人の肌よりやわらかな表現が
うるうるうると
つづられているようでございます


オノマトペの連弾
口角をあげたりさげたりしながら
便箋は満たされていくようです

それが
私のふとんのように
とても、あたたかいのです


私がお返事を書くため、そっと息をたてますと
便箋は寝室だけでは足りなかったようで
それならと
星星の裏へしたためるため、私はやさしく目をつむるのでございます


朝が来ても忘れぬように
明媚な書体をかんざしにしまして


つぎのお返事が
しとしとしとと
したためられている合間に
私は書き損じの星を胸にしまって、眠っていたのでございましょう


スズメの羽音が跳ねる中
余韻が
きりり、と
しなっておりました


未詩・独白 雨つづり Copyright フクロネヅミ 2007-10-05 12:01:26
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