マグダラ
rabbitfighter

大塚駅北口の商店街は薄汚れていて風切って歩くチンピラが絶え間なく行ったり来たりしていて、角のゲーセンの二階の奥の、使い古された脱衣マージャンに相変わらず俺は百円玉を山積みにしてる。もう何度裸にしたか分からない女、それでも俺は相変わらず。もうほとんど、愛を込めて。
一階に下りてUFOキャッチャーにまた小銭をつぎ込んで取った小さな香水瓶を手土産に馴染の風俗店へ、鉄骨階段を二階まで上っていく。馴染の店の女たちはいつも違う顔をしていて、体も声もまんこの匂いももちろん違う。でも一緒なんだ。あゆとかみきとか、二文字の、ティッシュペーパーと一緒に消費されていく、体の何処かに傷がある女たち。
一度だけこの店の女と付き合ったことがある。幼馴染の蕎麦屋のせがれと、居酒屋の帰りに寄ったときに会った女だ。迷子になるたびに泣きながら電話をしてきて、最後にはそのままどこかに消えた。
もちろん三軒あるうちの二軒のキャバ嬢とも恋に落ちたし、マッサージの呼び込みの中国娘とも寝た。
でもみんな結局最後には迷子になって、迷い込んだまま帰ってはこない。こんなにしみったれた街の、どこか路地の深いところへ。

結局時間は止まったわけでもなく、キリストが死んでからもうずいぶん経つ。どの店の女たちも知らない顔だらけで、ますます古ぼけていくいくつかの建物、しがみついたままよたよた走る都電、チンピラ、角のゲーセン、二階の奥の聖母、待っていてくれ、すぐにまた戻ってくるよベイビー、お前を裸にしてやるよ。


自由詩 マグダラ Copyright rabbitfighter 2007-10-05 02:19:56
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