宵闇気取りでコンニチハ
プル式

『海の中で時計は止まる』

そっと手をつなぎながら
僕ら海に泳ごう
ひと足とびに歌を口ずさんで
思い出の波にゆらぎながら
毎日君に話せなかった言葉を話そう


『羊が手を振る』

まぶたの裏でくすぶる夢
昨日何を捨てたの
何が欲しかったの
僕はただ優しさが欲しかったんだ
君と同じ笑顔が欲しかったんだ
僕はちゃんと笑えてるのかな


『鏡の国と君の世界』

夜明け前に見た夢の中で
水面に映った君の顔が忘れられない
笑い顔なのに僕はそこにいない
僕は水の底から君を見つめている
君は僕を見ていたのだろうか
それとも


『見上げれば月が笑う』

なんでもない一日をたどる
記憶の川に浮かぶ小さな灯りが
ゆらめきながら
ゆっくり
ゆっくり
流れ行く
ぽぅっと浮かんだ思い出は
やさしい橙色をしていた


『君の残したティーカップ』

クリームケーキにチョコチップを散りばめて
口付けはあまい味で溶けていった
僕は紅茶を入れるのが随分うまくなったんだよ
まだ君ほど綺麗な色は出せないけれど
だからもうケーキだって甘いって思えるよ


自由詩 宵闇気取りでコンニチハ Copyright プル式 2007-10-05 00:43:32
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