城之崎二手次郎

 五十年、いつも妻がリードしてくれた。付き合いだすきっかけを作ったのは彼女。プロポーズもそうだ。子育ても任せてしまった。不甲斐ない夫だったろう。それでも私の顔を立ててくれた。その妻が、布団に横たわっている。最期は我が家でと望み、ふたりの息子夫婦と孫たちを呼び集めた。妻が口を開く。それを見守る家族。こんな男と出会わなければ。そう言って死んだ。家族の視線が痛い。

あとがき。
二〇〇字物語第三弾。


散文(批評随筆小説等)Copyright 城之崎二手次郎 2004-06-04 18:42:05
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