目線
唐草フウ

やさしい足で走っていたら
胸まで砂の入る転びかたをした
目の前にある白く小さい手は
逆光で誰ん手か判らないまま

わたしはその手にすがろうとはしない

胸に入った砂が肺で
雑ざりあって ああ
砂時計のよう 小さな手
(ほらほほえんでないで走んなさいよ)

代えのきかない水晶だまをしているね。
あなたはわたしの膝丈の目線で
綺羅と黒く透けてる硝子だま

襟のボロボロになったシャツを噛んで愛でて
それでもまだ捨てられないから
よろける足を進める
あの頃見上げてばかりだったものを
平行に見渡して

低く吸って良い空気だと負け惜しんでみせる
やさしく走れる足、捨てるもんか



自由詩 目線 Copyright 唐草フウ 2007-10-03 13:29:48
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