願望
湾鶴

おいかけてゆきたいのです。

包丁でざくりと切ると、すぐ後ろでネギがぱらぱらと広がるように
ざくりの跡をぱらぱらと追いかけてゆきたいのです。



続けたいのです。

にんじんをするりとむくと、ピーラーの隣で、するするとのびてゆく皮のように
怠慢の隣で、するすると続けたいのです。




つながっていたいのです。

家に糸がみつからなかったので、そうめんを湯がいて食べました。
うすっぺらい紐はするすると飲み込まれ、どうにか繋がったようです。
しばらくはそうめんを食べて、つながっていたいのです。




おりたいのです。

どこの階ともつながっている、非常階段のような所を、静かに。






自由詩 願望 Copyright 湾鶴 2004-06-04 02:21:55
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