願望
湾鶴
おいかけてゆきたいのです。
包丁でざくりと切ると、すぐ後ろでネギがぱらぱらと広がるように
ざくりの跡をぱらぱらと追いかけてゆきたいのです。
続けたいのです。
にんじんをするりとむくと、ピーラーの隣で、するするとのびてゆく皮のように
怠慢の隣で、するすると続けたいのです。
つながっていたいのです。
家に糸がみつからなかったので、そうめんを湯がいて食べました。
うすっぺらい紐はするすると飲み込まれ、どうにか繋がったようです。
しばらくはそうめんを食べて、つながっていたいのです。
おりたいのです。
どこの階ともつながっている、非常階段のような所を、静かに。