あさが くる
ふるる

て、手を伸ばして
やわらかくてをのばして

その、影
ぼくらに届いて
君は
ぬりこめられて

たいよう
やさしくしずみこみ
耳のあな
つぼみのように閉じ

ふとんを頭からかぶり
羊水のような
くらいなかで
羊のかずをかぞえていた、
て、手を伸ばして
しずかに指をおって

ねむろうねむろう
もうねむろう
ぼくらしずみこみ
ぼくらはもう傷はつかない
ての傷も癒え
たたいた
ての傷も
たたかれた
君のその傷も
羊水の中でまどろんでいくうち、


  耳のあな
  完全に閉じ

  よるが

  きた

ぼくらまいにち洗われた
そのみずのなか
のなかで
夢を見ることもなく
こわいことはもうすんで
傷はもうきずではなく
きずな、でありつつある
長いいっぽんのロープが
ぼくらのへそからは常に垂れていて
ねじくれたそのかたちてにとり
うなだれている君
君のてはぼくらのかわりにいつもよごれて
ぼくは洗いたい
みずで

ねむろうねむろう
もうねむろう
よるのなか
ぼくらは君を洗い
君のよごれたてを洗う
洗われてあたらしい君の手

君は、
もういいのよって、手を伸ばして
たちあがる
あさひ(のように)

たいよう
やさしくはえかわり
君がわらうと

ぼくらがいっぽんいっぽん生えた
小さな野原が
うるおいあふれ

はやく、とぼくらは成長し
ぜいいんで影をせおい
せおわれた影あたらしくうなだれる
ぼくらきゅうによろこんでわらう
わらいごえこだまする
泡となりのぼってゆく
こきゅうこんなんでまたはげしいぼくら
ぼくらを丸めてせきこむ

そのせなか
やわらかく手をのばして
て、手を伸ばして
なでて

その、ひかり
ぼくらに届いて
君はひかるちょうこくとうで
ほりおこされて

ひとりの
ちいさな
やさしいひとが
おこされて
からだに羊水をたたえ
羊をかぞえる
うつくしい指をもち
ぼくら
ぼくらを
うるおいあふれさせる(かぞえ きれないの、と)
あつめてだきしめる
耳を花びらのように開いて
ぼくらのこえ、
聞いて
わらいごえこだまこだまし

  耳のあな
  完全に開き
  
うるおいあふれる
ぼくら
水のなか小さな野原でこえ
ふるえる

君は
おこされて
ねむいめをこすりながら
わらって
ぼくらへ
手を伸ばし


  あさが

  くる


  (かぞえ きれないの、)





自由詩 あさが くる Copyright ふるる 2007-09-30 17:25:02
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