折れ曲がった
ふるる

酔っ払って
海岸に
遠くの音
ひずみの向こう
波は立ったまま
立っている

寒いのは
恋人を連れていないから
あたたかい手を差し伸べる人を

遅くまで起きていても
誰も叱らないんだと今
気づいた

ジル、美香、大津さん
そんな
誰にとっても意味のない呼び名
靴をぶかぶか言わせて
浅瀬に入り
かがんで何かを
折れ曲がった何か

父はずっと前に逝った
あんな時にこそ神は必要
だったのに
思いつきもしなかった

ごめん
いや
もっと他に言いたくて
文字を書いているんだ

折れ曲がったさようならを
拾い上げ
しずくをはらい
じっと持つ

遠くの音
ひずみの向こう

波は立ったまま


自由詩 折れ曲がった Copyright ふるる 2007-09-29 01:08:33
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