彼方
LEO

いま
あの日、に立っている


右手をのばし
空の高さを測るきみ
手招く左手は
薄の穂の間に
見え隠れして
黄昏の
目で追う背中には
金色の翼があった
喧嘩しても
すぐに忘れるくらい
ぼくら幼くて
紅の頬に
黒髪を踊らせ
翔けていた
どこまでも
どこへでも
行けると信じて


波打つ薄の原は川のよう
変わらぬ景色に
時の移りは見えなくても
無邪気でいるには
ずいぶん遠くまで来てしまった
流れてくるもの
流してしまうもの
対岸のきみには見えるだろうか
答えて欲しい、いま

あの日感じることの無かった冷たさで
風が鳴いている



自由詩 彼方 Copyright LEO 2007-09-26 12:30:00
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