言葉たちの反乱
atsuchan69

「俺様がどれほど鮮やかな色で
みごと第一連を美しく染めたとしても
賛美の対象はあくまで作者だろが。
ふん、馬鹿らしくてやってられるかい!

こうして群青は捨て台詞をのこし
肩で風をきると、
まるでチンピラのような歩みで
遠くイメージの彼方へと消えてしまった

そこで藍青とかブルーとかの代役をあてて
遥か上空から俯瞰する白いアルプスの山々を
より鮮明に浮き立たせようとした矢先、
助動詞の気紛れなサボタージュのため
アスペクトが不明の描写を強いられる

いや、そればかりじゃない
利権拡大を図る漢字ギルドが
文字の使用に対し、
「かんじ好い漢字」のキャッチフレーズを
各連毎に入れろとの指定――
さらに左翼系記号団体から
名もなき、句読点に、よりスポットを、、
と、善人面した、厄介な脅し。
、かんじ好い漢字! )))

深夜。【リ】が、【ピ】と、駆け落ちした直後、
前後の、文脈の、関係を表す接続詞のうちで
「順接」、「逆接」、「並列」、「添加」、「説明」らが、
「選択」、「転換」らと、現代詩の定義を巡って対立。
、かんじ好い漢字! )))

接続詞の大勢はアニメオタクで
にゃぜ、主語は、述語より先にゃのぉおおか?
ス、/スラッシュ/も/記号/も/
もぉーっ、あぉぁあああ あぉ日本語ひゃうっ!
などと騒ぎ立てる
あ゙あっ、かんじ好いぃ漢字じゃいぃぃっ〜 )))

しかしさくしゃは、
これらのしょうがいにまけず
よどおしキーボードをうちつづけた
アルプスのすそのにふきおろす
あのさわやかなかぜを、えがきたい
たったそれだけなのだった
みあげると、きらめくそらがむげんにあった

「じゃあ、また力をかしてやるよ

斑な雲がオレンジの光彩を孕んで
いつしか夜の領域が消えてゆく様を映している

罪の匂いが、闇を這うように
初々しい雲を湧き立たせ
険しい起伏は大地との境もなく
今尚、漆黒に包まれていた

黎明はあまたの瞬きを浮かべて見下ろし、
やがて下へ下へと沈む魔性の空白は
紫がかった暗紅色から浅緋
そして花葉色の黄へ
ダイナミックに階調を変えながら
すでに深紅を帯びた山の輪郭をなぞると、
そのとき――

薔薇色の空の合間に
群青が、ふたたび顔を覗かせた。







※作中、表現の一部に漫画家みさくらなんこつさんの作品に登場する独特の台詞(みさくら語)をパロディとして使用しております。

 みさくらなんこつ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BF%E3%81%95%E3%81%8F%E3%82%89%E3%81%AA%E3%82%93%E3%81%93%E3%81%A4





自由詩 言葉たちの反乱 Copyright atsuchan69 2007-09-18 23:14:19
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
■ 現代詩フォーラム詩集 2007 ■