(無題)
キキ

指をひらくと
きのうの夢がこぼれ落ちた
わたしたちは
月の公転ぐらいのスピードで
どんどん忘れていくのだから
泣かなくてもいいのに
と言いたいが
きのうときょうの
ことばを全部書き残して
あと何ヶ月か泣き暮らし
正月を迎えて
わたしの頬はいろんな色に輝いて
温かかったと
言うんだと
そんなことをこぶしに閉じ込めていたみたいだ

どこからかやってくる
冷たい風が
ふくらはぎにふれていく
あれをつかむために
わたしは手をひらいたのだ
とおもう
ひどいことなどない
わたしたちには眠りがあって
眠りのなかでは
おなじように手を伸ばしているけれども
その手は届かずにいるけれども
わたしたちには目覚めがあって
目覚めた先のどこかにかならず指先は触れている


未詩・独白 (無題) Copyright キキ 2007-09-16 10:23:18
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