天国の住所
虹村 凌

郵便番号もわからない
気だるく光る朝の太陽
トンネルの中で輝き続ける
あのオレンヂ色の光の方が綺麗だと思った
星に願いをかけた事は無いと思う
目を閉じて夢を見る事は何度かあった

珈琲に角砂糖を落として
薄いカーテンを閉じる
夜明けの青からオレンヂ色に変わる
あの空に虹が出ればいいのに
虹は出ないから
気持ち悪い色に
カーテンを閉じる

エレベーターに住みたい
エレベーターの中
あの箱の屋根裏
あの縦に長い暗闇の底や天井
基盤やコードがゴチャゴチャと置いてあるであろう
暗い屋根裏に薄暗く輝くレコードの聞ける管理室

ガソリンスタンド
カフェ
キャンピングカー
コンビニ
カラオケ
映画館
立体駐車場

住みたい場所は沢山ある

何処に行けばいいのかわからない
何処に行こうかわからない
片っ端から住所を調べてみても
読んだ事の無い記号ばかりで
大きく吸い込んだ息は紫色だった

寝つけない夜に一等好きな服を着て出かけよう
大好きな映画の投影機を心で回して


自由詩 天国の住所 Copyright 虹村 凌 2007-09-13 09:03:12
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