夏の日
ワタナベ

すっかり草に覆われた
ぼくらが秘密基地と呼んでいたここに
今年もまた暑い季節がきました
打ち捨てられた自転車が
見捨てられたこの場所に
あの頃のまま忘れられて

なにが秘密だったんだろう
そんなことも思い出せないまま
秘密を無くした秘密基地で
なにかを忘れてしまった気がして
それはあの草むらの奥で
ひっそりと息を潜めている

今、駆け抜けたのは、あの頃のぼくら?

こえてゆく遥か夏の日
きえてゆくあの日の面影
いつかの夢を追いかけて
いつかのぼくらは駆けていった

うしろ姿を見送って
少しだけ立ちどまった夏の日


自由詩 夏の日 Copyright ワタナベ 2004-05-30 21:25:23
notebook Home 戻る