行列の作り方
湾鶴
:うっかりおとした粗塩
:お砂糖小さじ一杯
:醤油大さじ三杯
:みりんキャップ一杯
それぞれ玄関にならべて一晩ねかせます
羽虫やアリが運びます そして よくわからない虫も
お家に持って帰るものもあり
その場でむさぼるものもあり
その虫を食いつくものもあり
そのまた虫をつつく鳥あり
その鳥をこわがる夫があり
その夫を笑うノラ犬が空き缶につまずき
その空き缶を拾った少女があり
その少女のスカートをめくる男の子は
いまどきいないと思っていたのちゃんといて
その男の子をしかる先生がいて
その先生の飼っているイグアナは散歩の途中
そのイグアナが見た朝日が昇るころ
目が覚めました
新聞をとりにサンダルをひっかけ
ドアをあけると
角の家まで行列が続いておりました
あわてて行列の最後に並ぶと
「おはようございます」と
すぐに婦人が後ろへついて
これで一安心と思った私は
婦人が買おうと思っていた鯉のイヤリングで、
行列はまだ続きそうです。