行列の作り方
湾鶴


:うっかりおとした粗塩 
:お砂糖小さじ一杯
:醤油大さじ三杯
:みりんキャップ一杯

それぞれ玄関にならべて一晩ねかせます

羽虫やアリが運びます そして よくわからない虫も
お家に持って帰るものもあり
その場でむさぼるものもあり
その虫を食いつくものもあり
そのまた虫をつつく鳥あり
その鳥をこわがる夫があり
その夫を笑うノラ犬が空き缶につまずき
その空き缶を拾った少女があり
その少女のスカートをめくる男の子は
いまどきいないと思っていたのちゃんといて
その男の子をしかる先生がいて
その先生の飼っているイグアナは散歩の途中
そのイグアナが見た朝日が昇るころ
目が覚めました
新聞をとりにサンダルをひっかけ
ドアをあけると
角の家まで行列が続いておりました
あわてて行列の最後に並ぶと
「おはようございます」と
すぐに婦人が後ろへついて
これで一安心と思った私は
婦人が買おうと思っていた鯉のイヤリングで、
行列はまだ続きそうです。


自由詩 行列の作り方 Copyright 湾鶴 2004-05-30 19:30:09
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